大阪の町を離れて一路『奈良』へ・・・

5月13日、土曜日、あめ

5月だというのに、もう梅雨にはいったんかなあ? 
また雨じゃあ!

途中運転していてハッとしたよ。
今年、高校野球で活躍した桐蔭学園高校の前を通ったんだ。
注目してた高校だったから、ビックリしちゃった。
校舎はベルサイユ宮殿のような建物で、ぼっちゃん、おじょうちゃん学校なんだなあ!って・・・・

大阪とサヨナラして、かなり長い上り坂生駒山を越えると奈良に突入だ!


まずはバイパスを降りてすぐ近くにある唐招提寺へ行ってみようねえ!!

この寺は唐の僧侶『鑑和大和上』というお坊さんが、759年に建てた、えらく古い建物なんだ!(今から1250年も・・・)

その中心にデン!とそびえ建っている『金堂』は、今まさに大修理の真っ最中でした。
残念ながらこの金堂は見ることが出来なかったよ早く修理を終わらせて、復元した金堂をみせてほしいな〜!

『講堂』右側にある『礼堂東塔』の広縁が気に入ったから、ちょっと座ってひとやすみ!

そこから眺める庭や石畳にかけての風景が、『雨』といういなせなシュチュエーションも加わって、素晴らしい『わび・さび』を感じさせてくれたから、すっごく感動してしばらくボーっとしてたんだ。

一番右奥にある『鑑真和上御門』から通路の両側にしっとりとたたずんでいる杉の木や、長い年月をかけて育ったコケが、 旅をするひと達を優しくいざなってくれてた。(やっぱり雨はいいよね)。

唐招提寺にお参りした人は、その足で薬師寺に参拝すると近いから、いいんじゃないかなあ。


この薬師寺は、あの日本の最後の宮大工といわれる西岡常一』棟梁が手がけた最後の作品『西塔』が建ってるんだ。(俺はこの西塔をこの目で見たい!ってずっと思ってたんだ・・・)

この西岡常一という人は、宮大工と呼ばれる中で、日本の頂点だったおじいちゃんなのよ。
この人の使っている道具はすざまじい!と本にも書いてあってね。
という木を削る道具があるんだけどね、これは建物の柱を山から切ってきて、最後の仕上げに使うんだけど、普通は柱を床に寝かせて動かないように固定して使うんだ!
その柱の上にカンナを置いて、両手で一気に手前に引き寄せて木を削る!(シュルシュル〜って)

だけど、この西岡の棟梁が使うカンナはちょっと違うのよ・・・
木の上に置いたカンナにタバコを吸う時に使うキセルを乗せて、そのカンナを手前に引き寄せるだけでシュルシュルって木が削れちゃうんだって!

こんな神業を持っているスーパーおじいちゃんなのだ。(できるもんなら誰かやってみたらいい!佐伯のオヤジさんならもしかしたら出来るかもしんないね!)それだけ道具の手入れを行う人だったんだ。
今の大工が忘れている大事な事なんだけどねえ!

その人が残した最後の作品が『西塔』なのよ。

薬師寺の門をくぐって、西塔を目の前にして見上げてみた・・・・

この5重の塔は、人の骨を安置するだけで、後は仏像や絵が描かれているだけの、何にも使えない実用性の全く無い建物なんだ。
そんなもののために、東と西に、二つも5重の塔を建ててしまったこの時代の人達はスゴイよ!!

は、白鳳時代1300年前に建てられたままなんだけど、虫に食われてしまった垂木(たるき)が むごたらしい!んだけど、時代の重さを感じさせてくれるから見惚れちゃうんだ。

大工が一つずつ手造りした『唐斗』も芸術品でねえ!惚れ惚れしちゃう。
基礎の石に合わせて彫った土台の木なんか、どれだけ時間をかけて刻んだのか?頭が下がるよ。

1300年間そこにたたずむ重みが心を打って少しの間じ〜っと眺めてたんだ!

対照的に艶やかに装飾された『西塔』
きらびやかに着色された柱や垂木、これから1000年の間たたずむ力強さがここにあり!って感じだね。

あまりにもゆっくりしてたら、閉館する時間になちまってた!
早くここを出なくちゃいけない・・・

だけど、旅を続けてきて、いままでの疲労が身体に出てきてる感じがするんだ。

あしたは法隆寺に行きたいから、その近くの宿『いかるがホテル』に宿をとることにしたんだ。
案内には『敷地内にコンビにもあり、家族にも人気のあるアットホームなホテル』と書いてあったんよ。

渋滞に引っかかりながらホテルに着くと??『ここはホテルじゃあなくって旅館じゃあないの?』と想わせる建物だったんだ。
駐車場に車を入れる時、一人の男が2階の窓を3センチだけ開けてジイーっとこっちを見ているじゃあないか!
窓に身体を密着させているからガラス越しにこっちを見ているのが、全てはっきりと分かる。
なんなんだろうね?

食堂というか、フロントというか、おばちゃんが居るので声を掛けてみると、お婆ちゃんが出てきて、『前金で4200円ねえ!領収いるの?』と聞いてくるんよね。
5千円を渡すと、エプロンのポケットからジャリ・ジャリいわせて8百円のおつりが出てきた・・・

『部屋に案内するからついて来て!』って、迷路のような廊下を渡って、着いた部屋の扉を開けてみたら、畳敷き4帖のタコ部屋でエ〜ッと悲鳴をあげてしまった・・・・

ひとり部屋だったんだけど、14インチの懐かしいテレビと、50センチ角のちゃぶ台がひとつ!(もちろん座布団なんて無いんだ)

昔から使われているらしい、朱色のせんべい布団が端のほうに積み上げてあってね・・・・
荷物をくくる時に使う白いロープが部屋の鴨居の部分に2本はりめぐらされていて、そこにハンガーが3本『洗濯物はここに干せ!』といわんばかりにかかってるんだ。

言い忘れたけど、扉は引き戸なんだけど、何年もの間、油をさしていないみたいで、扉を開ける度に『キュルキュルキュル』と鳴きだすんだわ・・・
なんだか大阪で働いている時の箕面寮を思い出したよ。(木造、築36年壊れかけの箕面寮!それと同じだったんだ・・・)

おばあちゃんが『お風呂入れてるから入んなされ!』となんとも嬉しい事を言ってくれる。(こういう時、母親を思い出すね)

をお婆ちゃんは慣れた足取りで進んでいく。
そこは地下なの?
おばあちゃんは手探りで前へ横へ進んで行き、どうやら?脱衣場へ到着したようだ・・・・
脱衣場なの?廊下なの?
そこにカゴがぽつんと置いてあるので、『ここで脱ぎなさいという事なんだなあ』と理解する事にした。
ユニットバスの扉を開けると、1メートル角のちっちゃい室内で、窓は無い

ホテルに到着する時間が遅れたからなのかなあ?
しか入っていないのだ?  (しかもメチャ熱い!!)
身体をこするビニールタオルはみんなの使いまわしで、よく泡がたつビニール製のタオルだった。

石鹸はレモンの形をした黄色いやつが何個も集めて一つになったのが一つ置いてあった・・・・
気をとりなおして、身体を洗って、湯船につかって疲れを癒す。(情緒を感じながらゆっくり温泉気分とはいい難かった)

天井の換気扇の音だけが哀しく・・・・浴室に鳴り響いていたっけ・・・・

大阪ではなくここ奈良にあった
早く寝よう・・・・・