勝山材木市場

シルバーウィーク前に、材木市場に行ってきました。
8時前に、福山を出発して高速道路に乗りました。
平日だから、1,000円というわけにはいきませんが、倉敷を通って、左に分岐すると、総社に向かいます。
さらに北上すると、中国道にぶつかります。9月半ばですが、霧が立ち込める場所もあり、夏の終わりがやってきた事を肌で感じる季節になりました。
中国道の落合インターを降りて、川沿いを上ると、岡山県勝山市が見えてきます。
国道を、大型ダンプに材木を積み込んだ車と、何度もすれ違うと、勝山に来た!!っていう感じがしてきます。
 10時前に、材木市場に到着したんですが、まだ人も少なく、材木製材会社のダンプが、今日セリにかける材木を降ろしている、静かな光景しかありませんでした・・・。
 私は、きょう買って帰る『4寸角のヒノキの柱』と『ヒノキの土台』を事前に吟味する為に、倉庫中を歩いて探しました。
 今回は、どうやらスギの材木がたくさん出ているようで、お目当ての柱と土台は、ほんの少ししか出ていませんでした。
 材木は、製材所によって、全く値段が違ってきて、人気度もハッキリと別れています。
 例えば・・・『デパートの高島屋』と『ダイエー』と『夢タウン』『個人商店』『バーゲン品』のようなもので・・・、『高島屋』を買うと、間違いはない!といった、ネームバリューと『裏切らない安心感』が感じられます・・・
『個人商店』は、品物はたくさんないけど、掘り出し物も中には入ってるかも・・・!といった博打性のあるモノがふくまれます。  
仲買人は、何千本の中から、自分のお目当ての物をセリで買うんです。
しかし見れば見るほど、柱の種類があるんです・・・・。
『人工乾燥させた柱』『樹齢が若い、年輪の目が粗い柱』『端切れを集めてくっつけた、集成材の柱』『年輪の芯が、ヘンテコな所にある、将来ねじくれる柱』『岩場に育った、アテと呼ばれる柱』そして、柱の等級『特等』『1等』『1方上小節』『2方上小節』『3方上小節』『4方上小節』『1方無節』『2方無節』『3方無節』『4方無節』など・・・
 これが、製材所の名前の数だけ出てくるから、『4寸角の柱』というだけで、1本・・・千円台〜五万円の値段が付きます。
買う時に、このコロ合いが難しいんです・・・・。
利益の事だけを考えると、一番安い値段の柱を買えばいい!!
 だけど、それじゃあオヤジが何の為に、ワタシを小学生の頃からココに連れてきたのか・・・・・。
 目利きが効くように、井上建設が買う柱はこれなんだ!!というモノを見分けられるように、30年以上も連れてきてたそうです。
だけど、『イイ柱は高い!!』ワタシが欲しいを見透かしているかのように、売り子の太夫は、『これではどうじゃ!この値段で買うのか?』と竹の竿で、山と積まれた柱をビシビシ叩いて、ワタシをあおります。
 この一瞬を逃すと、他の仲買人に買い取られてしまいます。
私はお客さんに、『これは良い材木だから、高くても使いましょう』とは言えません。安くて後からひん曲がる材木を『うちのは、何処よりも安いから』、という売り方は、オヤジに見破られ、こっぴどくしかられます。
 考えたすえに、イイ柱は買いませんでした・・・・。
今の時代に家を考えている家族は、給料の収入が限られています。生活が一番だと思うんです。
 だから今回は、『高島屋クラスの中の下』の柱を買ってきました。
年輪もしっかりしてるし、素性もまあまあ!
ただ、たくさんの枝の跡『節』があるだけです。
なんの問題もありません・・・。
決断する時には、本当に緊張するんです・・・・
材木のセリは、テレビの魚市場で、セリ落としているモノと全く同じやり方で行われます。
ワタシも、沢山の仲買人の中に混じって、お目当ての材木を奪い合います。
もし、間違って材木を買ったとしても、『やっぱし止めとくわ』はできない、キビシイ世界なんです。
 一度手をあげたら、2度と後戻りできない、『株』のような要素をたくさん持っています。
安い材木に飛びついて買うと、買った瞬間から後悔が始まります。
それは、大工からクレームが来る事を恐れるからです。
高い値段で買ってしまうと、競争物件には使えません。
 何よりも、私たちがセリで買う単位は1バンド単位です。
1バンドには、30本から50本がヒトくくりにされているのを買うわけです。
 1件の家に約80本の柱が必要ならば、2バンドから3バンド買うわけです。2件だと・・・・。3件だと・・・。
これが、安くてボロの柱を買うと、目も当てられない状態になるんです。
 セリが終わると、精神的にグッタリしてしまいます。
帰りの道は、来た道の何倍にも感じます・・・・。
 だけど、これも社長のお役目!みんなに気持ちよく働いてもらうため、そう思っています。
 いつの日にかオヤジのように、楽しんで材木のセリが出来るようになる日を夢見て、次回も踏ん張ってきます!!