7月16日 夕張メロン

・・・・・『夕張メロン』・・・・・
7月16日、日曜日、曇りのち晴れ

今日はどうやら、待ちに待った日曜日らしい!
朝っぱらから、ハイテンションのバイクツーリングの集団や、改造車の走り屋さんが、
爆音をたてながら道の駅で集合しているようだ!
道の駅に着いたらエンジンを切りゃあええのに・・・、仲間達にその爆音を自慢したいらしく、永遠とバイクの雑音が響く!
寝ている者の事より、楽しい1日の始まりに大はしゃぎしている大人たちの話し声で、目が覚めた!・・・・時間は7時前!
憎たらしい集団だが、その笑顔を見ていたら『まあ、しょうがないか!』っとため息が。
今日はこれから『幸せの黄色いハンカチ』という映画の舞台になった場所に行く事にしていた。(曇っているので暑さも丁度いい感じだ!)
行ってみて驚いたんだけど・・・、あの夕張メロンで有名な夕張で、ラストシーンの
黄色いハンカチを撮影していたんだね。
夕張の駅に向かって走っていたら、迷子になってしまった。(全くの逆方向だったみたい)
しかし迷子になったにせよ、せっかく夕張に来たんだからメロンを食べないで帰るなんて人生の心残りになっちゃう!

農協にいくより、個人商店を選んで入ってみたんだ。
ここに来るのはもう一つ、別の目的もあったんだ。それは小学校の担任であった『岡崎先生』に何か恩返しがしたかったんだ!
この旅に出る前に、岡崎先生の息子さんが営んでいるお好み焼きや『またきて屋』に行っていたら、偶然岡崎先生がご主人と一緒に入って来てさ、俺は先生をひっ捕まえ、これから自分家の家業を辞め、旅に出る事を告げたんだ!
そうしたら先生は、今までの人のように『お前の独りよがりだよ』と言うのかと思えば、『行って来い!』と背中をポンって押してくれて、餞別のビールまでご馳走してくれたんだ!(帰り道は代行運転になっちまったが!それより気持ちが嬉しかった)
小学校の時には、とにかくのろまで手を焼いた生徒だった俺!・・・字が書けない。
勉強の要領が悪くて、いつも漢字を200文字書かされる・・・という宿題を俺は課せられていた。
本を読んでも漢字が読めないから、授業にならない!
走っても1番ビリで大食漢な怠け者!
・・・そんな俺の名前は井上だ!出席番号でいうと、どうしても前に座ることが多く、
予防接種を受ける時もよく叱られたもんだ。
意気地の無い小デブの俺は、何とも情けない小学時代を送っていた。
その小学校の時の担任、岡崎先生には本当にお世話になったと感謝している。
そして俺はいま、日本の最北端の北海道にいる!『今の俺が出来る事は何だ?』
・・・そうだ!ゴッツイ『夕張メロン』を先生に贈って、感謝の気持ちと、北海道まで
来た報告をしたい!と思ったんだ。
意気揚々と店に入った俺は、すぐに引き返したくなった!
メロンがどうして『果物の王様』か!というのを忘れていた。
『ステーキだってこんなにしないよ?』っていう値段が当たり前のように掲げてあった。
『はい!まいど!お兄ちゃんどれにする!』っと威勢のいいお父さんの声に、『小学校の恩師に送りたいんだけど』と、か細い声で言うと・・・
『それじゃあいいもんじゃあないといけないね!あの1番上の棚のを2個送るといいよ!』って指差したのは1個・・・千円のメロンだった!
『これは1箱の間違いじゃあないでしょうか?』と聞き返したくなる瞬間だった。
お父さんは、『この生産者のおっちゃんは名人だよ!間違いないからこれにしときな!』って威勢がいい!(これは沢山の職人を見てきた俺のハートをわしずかみにする言葉だった)
・・・職人気質が大好きな俺には何物にも変えられない賛美の言葉だった。
お父さんに任せて、京都にある『清水の大舞台』から飛び降りた俺は、大きな夕張メロンを2つ送ってもらうことにしたんだ。(これは岡崎先生に1番に食べて欲しい!間違っても息子が先に食べないことを祈るだけだ!)
せっかく夕張まで来たんだから、本場もんを食べない手はない!
お父さんに、『きれっぱしでいいからメロンが食べたいんだけど!』って言うと・・・
『そんくらいサービスするよ!』って大きなメロンにスパッっと包丁を入れて、半分近くあるメロンを出してくれたんだ!(夕張メロンっていうやつは、あんまり冷やしすぎちゃあ甘みが逃げちゃうんだってさ!)
ほどよく冷えたメロンの果肉は緑色ではなく、黄色がかかっていた。
以前のメロンは緑色だったんだけど、この黄色にするのが大変なんだとお父さんは言うんだ!生産者も若者は、効率ばっか考えて、いいメロンを作るだけの愛情を持っていないんだ!とも言っていた。俺たちの建築の世界と全く一緒だな!と思った。
この店はさっきも言ったように個人商店だ『ぴ〜ぷる、加藤』(01235−2−3888)に行ってみると美味しいメロンが食べれるよ!
そうそう、幸せの黄色いハンカチの撮影現場に行かなきゃね!
駐車場から少し歩いた所に、あの黄色いハンカチは映画のシーンのように沢山はためいてたぞ!
数件の掘っ立て小屋も残されていて、中には撮影で使った、武田鉄也が運転していた車が展示してあった。
この掘っ立て小屋に入るとビックリするよ!
壁から天井まで黄色い紙が貼り付けられていて、気味が悪いんだ!
良く見てみると、自分の幸せの『願い事』を、その紙に書いてあってね・・・
こんなにも沢山の願い事で埋められた部屋は見たことがないよ!
奥には当時のセットと写真が飾ってあって当時を再現してるんだ。
写真を見ると、桃井かおりさんや武田鉄也はとっても若い!そんな中に海水浴で命を落とした『タコ八郎』が写っていた。『生きてたんだ!この時は!』そんな言葉を口にしていた。
テレビには、ラストシーンが映し出され、あの時の感動を思い出させてくれる・・・

さあ!今度は『ポッポ屋』の駅にいくぞ〜!
山道を走っていて、ナビゲーションが近道をする!と道を変えたんだ?(なんだか嫌な予感がしてきたぞ!)
ナビゲーションが示す道は、入り口にゲートが付いていて開かれていた。(なんだかホラー映画の最初の場面みたいに気味が悪い)
まだ、外は明るい!何があっても引き返す事が出来そうなのでとりあえず進むことに・・・
少し進んだところで、予感は的中した!

アスファルトの道はいきなり狭くなり、道は突然!砂利道に変っていた。
『ヤッパリこうなったか!』もう大笑いするしかないもの!
砂煙をあげながら走っていくと、対向車いきなり現われて突っ込んでくるんだ。(結構この道は使われているらしい!)
そんな山の中で、一つの出会いがあった。
・・・なんと野生のキタキツネだった!このキツネはやせ細り、ヨボヨボと歩いて車に近付いてくる。(逃げないで、こっちに歩いてくるんだよ)

そこら辺にあったアメをキツネに与えてみた・・・するとだんだん近寄ってくる。
そういえば、お菓子が残っていたのを思い出して、車の中をゴソゴソと探してみたら、
コメッコ』が1箱出てきた。
車を降りてキツネにコメッコをあげてみた!まるで野良犬のように警戒して近付こうとはしないんだけど、お菓子の魔力に魅せられて、なんとかありつこうとするんだ。
だんだん距離を近くにしていくと、耳をぺチャッっとふさぎ、警戒しながらコメッコに近付いてくる。
お腹が減ってるのか、バリバリとキツネはコメッコを食べてた・・・
試しに自分の手から食べるかどうかやってみた。
・・・するとキツネは俺の手の先にあるコメッコをパクっと食べたんだ!(信じられない素晴らしい瞬間が訪れた!)
俺は、キツネにコメッコをあげる日が来るなんて思ってもいなかった!『パクッと食べたんだよ』北海道はでっかいどう!感動じゃんか!

『ぽっぽや』の駅はちょうど観光にやってきた台湾人に占領されて情緒も何もなくなっていた・・・っというより、『ぽっぽや』っていう映画を知っているんだろうか?
知らずに連れて来られて、訳も分からずに、無邪気に写真だけ撮ってる台湾人は可愛く・・・見えなかった。

映画の広末りょうこのシーンを想い浮かべながら、この場所に浸ろうとしたんだけど、騒がしい台湾人達の津波のような会話に全てかき消されてしまった。
この駅から次の駅に続く線路を見ると、真っ直ぐなレールが何処までも続いていた。
ボ〜!っと眺めてたら、なんだか『河佐峡』にある線路を思い出しちゃった。
今日は道の駅『南ふらの』で就寝します。おやすみなさい。