7月23日 日本最北の島、礼文島・利尻島

・・・『日本最北の島、礼文島利尻島』・・・
7月23日、日曜日、晴れ

今日の朝は早いぞ!フェリーに乗って、島に渡るからだ!
しかし、稚内は寒い!気温は10度あるんだろうか?というくらい寒くてかなわん。
ヤッパリ田舎は慎重に物事を観察してないと、とんでもないことにでくわすんだ!
早朝5時に街をさまよってみたんだけど、コンビニが何処も閉まっていて、朝ご飯と、島に持っていく果物やお菓子が買えないのさ!
困ったなあ?稚内の駅の辺りをぶっ飛ばして探すんだけど、開いてないのよ。
あきらめて、フェリー乗り場で何か食べようかなあ?と思っていた時に、1件だけコンビニが開いてたんだ!ラッキー!サラダとオニギリと、お菓子やバナナを買い占めて、やっと準備完了!稚内のフェリー乗り場に走っていったよ。
稚内から利尻と礼文を1日で周れる観光バスがあるんだけど、どれにするかは、稚内の駅にあるパンフレットで研究しとくことが大事だよ!
なんたって、観光バスの申し込みは、現地の港に着いてから自分で買わなきゃいけないんだから!
まずは『利尻に行くか?礼文に行くか?』から決めなきゃ、起きる時間だって変るんだからねえ!

その中で俺は、6時30分発の『利尻』行きのフェリーに乗ることにしたんだ。
観光シーズンだということもあって、かなりの観光客でフェリーは賑わってたよ。
船に乗ると、かなり風が吹いてたけど、フェリーは静かに利尻へ進んでくれた。俺はもっと荒々しい海を想像していたんだけど、肩透かしにあった感じがしたよ。
到着すると、ターミナルの中にある観光バスの案内所はすでに行列ができていた。
この時間だとCコース(3400円)で、4時間の観光が出来そうだなあ!
申し込みを済ませて、港の駐車場に行くと、2階建てのバスが待機していて、席は早い者勝ちの自由席だったよ。
バスに乗るのなら2階席がオススメで、左側に乗るとずっと海が見れるし、右側に座ると、利尻富士が見えるよ!
ここでバスガイドさんが同乗するんだけど、な〜んと!男性のバスガイドさんだったんだ。
ボブサップのような容姿をしたツルツル頭の見上げるような体形のバスガイドだったんだけど、体形とは裏腹に、可愛らしい喋り方をするガイドさんだった。
こんなのは初めてだったよ!

心に残った場所というと、北海道を代表するお菓子の『白い恋人』のパッケージの写真をここから撮ったという『オトダマリ沼』の景色だった。
ここから見る『利尻富士』の姿と、壮大に広がる自然の景色はため息が出ちゃう程に美しいんだ。(何枚も何枚も写真を撮りたくなるね)

あと『仙法志御崎公園』にはアザラシの子供を育ててるから、見ると可愛いよ!エサもあげることができるから楽しんで帰ってね。

この利尻の島は火山が何度も噴火して出来た島だから、温泉が出るんだってさ!
足湯もあるから、時間のある人はつかってみてね。
観光のオプションとして、海の底が覗ける、『海底探索船』ってのが1000円で乗れるんだけど、この船長さんが面白いんだ!
本業は豆腐屋なんだけど、昆布やウニを取る漁師もやってて、この観光船もやってる『大事業家』なんだけど、手を広げすぎて、どれも上手くいってないんだってさ!
人間的にいっても、商店街にいる威勢のいい魚屋さんといった感じがピッタリのオジサンでさあ、自分のペースで話し始めて、自滅するタイプ!かな?
オジサンの勢いだけの喋りに大笑いしちゃった。
気前が良すぎて、ドンドン人に物をあげちゃうから、お金なんて貯まらないと思うよ!
話しによると、この利尻の島には熊が1匹も居ないんだね!
だけど明治の時に、本土、稚内の『天塩の山』が火事になって、そこから逃げる為に海を渡ろうとした1匹の熊がいたんだって。
遥か彼方にある利尻の沖合いまで熊がやってくると、運悪く、漁師達に見付かっちまってさ、利尻の島は大騒ぎになっちゃったんだって。
ひとめ熊なる獣を見ようと海辺は人で溢れかえっていたんだって!
熊は一端は引き返そうとしたんだけど、そこに1艘の船を見つけて、それに捕まって休憩しようとしたんだ。だけどね、乗り移ろうとした時に、思わずチカラを入れすぎちゃって、船を沈没させちゃうんだよ〜。
熊は仕方なく利尻の海岸に泳いでいくと、漁師の網に身体を引っ掛けちゃって、とうとう捕まっちゃったんだ!
浜辺に打ち揚げられた熊は殺されちゃうんだよねえ。(せっかく泳いできたのにねえ)
利尻に熊が来たのはこの時だけなんだ!

それと、日本に最初に到着したアメリカ人は、この利尻にいたんだね。(ペリーが黒船で来る少し前だったんだってさ)
アメリカ人の若者は『遭難してここまで来たんだ』と筋書きを書いて、日本に侵入しようと試みたんだけど、捕まっちゃって、北海道にいたのに、九州の長崎に送られてしまうんだ!
長崎にいる半年の間、ここで何人かの日本人に、英語を教える事になったんだ。
この教えを受けた人達が、この後に来る『ペリー来航』の時に通訳として活躍していくんだって。井伊直弼がペリーと話し合うために、この利尻に漂流したアメリカ青年の貢献があった事は知られていないんだ。

利尻に着たからには『利尻富士』に登りたい!という人は、『おしどまり・くつがた・おにわき』の3ヶ所から登る事ができるんだけど、素人は『おしどまり』から登ってくださいな。
その他は、かなりの断崖を登るようになるから、素人では山頂まで登れません!
ただ、5合目までは『くつがた』から車で登れるよ。

さあ、利尻の旅はこれでおしまい!これから礼文島行き(13時15分)のフェリーに乗っていかなきゃ!って、オイ!すっげえ人数が乗るじゃないか!
船には満員御礼!の垂れ幕が付いてもいいくらいの人で溢れてるよ。
利尻島からフェリーに揺られて、40分で礼文島に着くことができるよ。
この港では『桃岩荘』のお兄ちゃんが旗を振って、熱烈歓迎をしてくれていた。まるで沖縄ジャン!
船を降りて、ここでも観光バスのAコース(3300円)に申し込むことにしたんだ!(この礼文島は道が1本しかなく、往復するようになるから、どっちの席に座ってもいいよ)
礼文島はとにかく景色が最高だ!
高山植物も豊富に咲いてるし、山が無いから、トレッキング(歩く)にはサイコーの場所なんだって。

礼文島はねえ、地震による地殻変動によって、地面が盛り上がって出来た島なんだとさ!
だから、温泉はありません。
しかし凄いよねえ!海の中にあった地面が、こんな島になっちゃうんだよ!自然の力は凄すぎるよ。
俺たちが住んでる住宅なんて、地面に15センチしか埋まってないんだぜ!
こんな大地震がきたら、何もかも吹っ飛んじまうよ!いまテレビで宣伝してる『耐震住宅』なんて、あっという間に吹っ飛んじゃうよ!
礼文島利尻島には、熊や蛇の危険な動物は全くいないんだ。
だから、山歩きをする人は安心して山を歩く事ができるんだってさ。
礼文島の北にある『スカイ岬』から見た海の色は、沖縄の海のように澄んでたよ。
風が強く、自然の創り出す景色に感動しちゃうね。
この先に、人間が住んでいる日本の島の最北端『スコトン岬』は『とうとうここまで来ちゃったよ!』って思うね。

ここはアイヌの人が(夏の村)と言ってた場所で、アイヌの人はねえ、冬の間、山の中で生活しているんだけど、夏になるとこの場所に降りてきて、魚を捕って生活をしていた所なんだって。
この先の『海馬島』にトドがたくさんいて、昔は人も住んでたんだけど、無人島になっちゃったんだって。だからこの礼文島が日本国の島の中で『最北端の島』って言われてるんだ。海の色が紺色でこの向こうはロシアなんだぜ!
瀬戸内海に住んでる俺にはロシアの存在なんて日常的に係わり合いがないけど、ここにいると、韓国や朝鮮やロシアの存在が本当に生活に密接に関わってくるんだ!
北朝鮮が核実験が行われると、この北海道にその灰が降ってきちゃうし、漁業も大打撃を受けるんだ。漁師も200海里のギリギリで魚を捕っているから、ロシアや朝鮮に『撃沈されるかもしれない!』という状況の中で生活してるんだ。
この場所に居ると、世界が見えてくるよ!凄い衝撃を受けちゃった。

この『スコトン岬』から80キロ離れた場所に『大韓航空機が墜落』した場所があるんだ。
1983年9月1日、AM3時26分、ニューヨーク発〜ソウル行きの大韓航空機は、ソビエト領域を飛行中に、ミサイル攻撃にあい、サハリンのモネロン島付近に大韓航空機は墜落していった。乗客240名、乗務員29名の全員が死亡した。日本人は29名乗っていたそうだ。
今いる利尻島でさえ、7月でこんなに寒いんだ!80キロ北の9月というと、雪が降りそうな寒さだろうな!海の中に放り出された乗客の人は、海の寒さに10分も耐えることが出来なかっただろう!
利尻島でも『真夏で20度』しかない場所なんだ!海水浴なんて出来たもんじゃあないよ!いくら暖かくしても風が強くって、体温を維持するのが辛いと思う。海に放り出されていたら、ひとたまりもなく、息の根が尽きてしまうよ!
そんな所へ墜落したんだから、冷たかっただろう!人なんていないこんな『へき地』で『誰か助けに来てくれ!早く!いつ来てくれるんだ!』そんな寂しい思いを持ったまま死んで行ってしまった人が沢山いたとおもう!
ロシアだぜ!ロシアなんて遠い遠い外国に思えてたけど、ここにいたら、目の前に見えてんだ!沖縄より近い所が外国なんだよ!感覚の違いに驚くよなあ。
礼文島と利尻の人は、ニシンを捕って生活してたんだけどさあ、たった1ヶ月で1年分の生活費を稼いじゃうんだってよ。凄いよねえ!
当時はそれだけ船も人も沢山いたんだって。
今は『昆布とウニ』の漁をして細々と生活しているんだ。
今の時期はウニとコンブ漁が忙しいから、全国からコンブ並べをするアルバイトがこの島に集まるんだって。漁をするといっても決まりごとがたくさんあるし、何せここは海の荒い北海道だ!大もうけが出来るような状況にはしない代わりに、生涯食べていけるように自然と向き合って生きているんだ!コンブ漁なんてさあ、決められた時間以外は船に乗れないからさあ、海の中にお腹まで入って、岸に流れてきたコンブを拾う人までいるんだ。
そうしなきゃ稼ぎなんてできないんだ。何時間も海に浸かってるのは俺にはできないぜ!
そんな過酷な生活をしてるから、だんだん若者が島から出ていっちゃうんだって!
小学校もいぜんは子供が沢山いてさあ、ドンドン増えていったのに、今じゃあ2校も廃校になってね、どんどん寂しくなってて、礼文島の小学校の全生徒が12人しかいないんだって。学年での授業なんてできないよなあ!先生も少なくなってるし教えるのも大変だと思うよ!礼文島の中にある信号も、『2つ』しかなくってさあ!この信号も『子供たちが本土に行ったときに、信号の渡り方が分かるように!』って社会適応用に作ったんだって。
おれが学校の先生になるんだったら、こんな場所で子供と接していきたいなあ!
礼文島の名所になってる場所に行くまでの道は、100メートル進むごとに景色が変っていく凄い所なんだ!
この島が地殻変動によって出来た事がわかる『猫岩・桃岩』がある場所に着くと、身動きが取れなくなっちゃうね。
見上げるような大きな岩!崩れてきたとてつもない岩!断崖絶壁の山々!まるで山が生きているような気がしてしょうがないよ。
俺はここに来て『もっとこの島で時間を過ごしたい!』と思った。
『この大自然の道を歩いてみたい!』と思った。そういう心境にさせてくれる素晴らしい場所なんだ!
そしてこの礼文島には、トレッキング(歩いて)してまわれる道がたくさんあるんだ。
車が通る道路は無いけど、歩いて高山植物や自然の景色を見ながら歩く道は、たくさんあるんだって。俺も歩いてみたくなっちゃった。(8月頃に来ると良いらしい!)
高山植物のアツモリ草がここにはたくさん生えててねえ、クリーム色をしたアツモリ草は珍しかったから、利尻島に観光で来た人が、勝手に持って帰っちゃって絶滅寸前にまで荒らされてしまったんだ!
今は管理されてるから、かなり改善されて元の姿に戻りつつあるんだけどね、6月初旬に来ると一番良い時期なんだってさ。
バスガイドさんも素敵な女性で、花の知識も豊富で、観光客の写真を快く撮ってあげていた。気持ちの良い人だったよ(惚れちゃいそう)
あと30分で港に着いて、フェリーに乗らなければいけないことを、悔やんでしまう。
バスガイドさんに聞いても、『もう少し早く言ってくれたら、宿があったかもしれないですけど、今からでは難しいですねえ!』と言われ、泣く泣くフェリー(17時25分)に乗ることになったんだ。
都会にあるものは全くないけれど、『それより素敵なものがここにはあるんだ!』
それが何かはここに来て感じ取って欲しいなあ!
明日もう1度ここに来てやろうかなあ?ここを離れたくないよ〜!

稚内に着いて、今日の疲れを『童夢(ドーム)』(0162−28−1160)のお風呂で癒すことにしたよ。(ここは22時までやっているから、遅くても人でごったがえしてたよ)
きょうはなんだか『ノシャップ岬』で礼文島を眺めながら寝たいと思った。
風がきつくて、何も見えなかったけど、ここで就寝よ。おやすみなさい。